さて、化野念仏寺から南下して歩くこと10分弱、山沿いに「祇王寺」への看板が見つかるはずです。
「祇王寺?」と聞いたことがない方がほとんどだと思いますが、ここはなかなかの穴場スポット。是非寄り道してみましょう。
少し坂道をのぼると、簡素なたたずまいで「祇王寺」は建っています。
祇王寺
この祇王寺、「平家物語」にも登場し、平清盛の寵愛を失った祇王が、妹・母とともに出家して3人で晩年を過ごした寺として伝わっています。
平清盛のお気に入りにの白拍子(舞姫みたいなもの)だった祇王は、母・妹とともに厚遇されていたのですが、悲しいかな人の心は移ろいやすく、新しい白拍子の仏御前に清盛の興味は移ってしまい、寵愛を失って祇王は捨てられてしまいます。
3人は出家し、この場所に小さな庵をたてて静かに暮らしていたのですが、やがて仏御前も清盛に捨てられ、この庵に入って女4人で余生を過ごした場所だという言い伝え。
悲しい女の寺、として嵯峨野に静かにたたずんでいます。
祇王寺
このお寺、何が良いかというと、とにかく苔むした庭です。
境内はこじんまりとして一周するのもあっという間なのですが、庭園はとにかく木々と苔が美しく、新緑、紅葉の季節はとくに周囲の景色と映えて静かで美しい姿を見ることができます。
苔むした庭が大変美しい
また、この祇王寺の横にある滝口寺の景色も見事です。
山肌の小高い位置にあることもあり、境内の付近からはふもとの様子や、山の様子が見渡せます。
紅葉の滝口寺
このお寺もまた悲恋の寺として知られ、滝口入道と横笛(女性の名前です)の悲恋の物語が案内に書かれています。
また、「太平記」にも登場する新田義貞の首塚があるのもこのお寺です。
新田義貞公の首塚
祇王寺も滝口寺も知名度が低いこともあって観光シーズンでもたいていガラガラです。
両寺院ともしずかに侘びてたたずんでおり、ゆっくりと京都の自然を楽しむことができます。
派手さはありませんが、とても良いところなので一度行ってみてはいかがでしょうか。
さて、次はさらに南下して、二尊院、常寂光寺へとむかいましょう。